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【ドトールVSコメダ】上場企業から学ぶ!!事業戦略【後編】

こんにちは!

ソルト総合会計事務所で中小企業診断士をしています松田です!
【ドトールVSコメダ】上場企業から学ぶ!!事業戦略【前編】では財務から見たドトールコーヒーとコメダ珈琲の違いを紹介しましたが、後編では実際の事業展開としてこの違いがどうなっているのかを書いていきたいと思います。
前編に続き、皆様のビジネスのヒントとなる内容となっていますので、最後までお付き合いお願いいたします。

目次

①前回のおさらい
②ドトールコーヒーのビジネスモデル
③コメダ珈琲のビジネスモデル
④まとめ

まず、前編のおさらいですが、

【ドトールコーヒー】
固定費が高いが粗利率も高いので、売上が伸びた分だけ利益も出やすい。

【コメダ珈琲】
粗利率は低いが固定費も安いので、売上の変動に利益が左右されにくい。

簡単にまとめるとこういう話でした。

ここからが本題でこの違いがどう生まれているかというと、結論は『ビジネスモデル』の違いです。

ドトールコーヒーはコメダ珈琲に比べ直営店が多く、都心を中心に店舗展開が行われています。

前編からの引用になりますが、店舗数は1,273店、そのうち、ざっと3分の1は直営店です。
都道府県別の数でいうと、東京都で483店となっており、2番目に多い神奈川県の172店の倍以上あります。
しかも、東京23区内が410店で一番多いのが千代田区の56店で、新宿区39店、港区37店と続いており、オフィス街を中心に展開しているのがよくわかります。
ちなみに我らが山口県は現在3店のみとなっています。

(引用:トップ | 店舗検索|株式会社ドトールコーヒー (doutor.co.jp) 2024年5月現在) ここから、ずばり、ドトールコーヒーのターゲットとしている顧客像は『オフィスで働くビジネスマン』と言えるでしょう。

次に店舗の作りですが、テナント料の高い都心に多いため、限られた面積の中にテーブルと椅子が狭い間隔で配置されており、長居して誰かと話す場所というよりも限られた仕事の合間に軽食とコーヒーを摂るというコンセプトです。
まさに多忙なビジネスマンの味方といったところでしょうか。

(個人的な話ですが、就活生時代、よく面接や説明会の合間に駅ビルや駅前にあるドトールでエントリーシートや面接の準備をさせていただいていました。。。)

引用:ドトールコーヒーショップ/ DOUTOR COFFE SHOP | Cafe&Sweetsデザイン事例|株式会社西脇一郎デザイン事務所 (nishi-d.co.jp)

フードのメニューを見ても、お馴染みの『ミラノサンドシリーズ』などの軽食が中心ですし、上記のイメージを強化しています。

ビジネスモデルのポイントとしては、お客さんの回転数をいかに高めるかというところが主眼になっています。
なので、繰り返しになりますが、ビジネスマンの多いオフィス街を中心に店舗を展開し次の予定までの間に活用するシーンを想定し、そういったビジネスマンをどれだけ取り込むことができるかがポイントになっています。

今度はコメダ珈琲を見ていきましょう。

ドトールと同じく前編からの引用になりますが、店舗数は1,004店舗でFCが965店舗です。つまり全店舗の95%以上がFCということになります。

ドトールと比べるために、都道府県別の店舗数がどうなっているかというと、一番多いのは愛知県が210店でやはり創業の地である愛知県が多いんですね。
愛知県についてさほど知識がないので仮に名古屋市全体を都心と仮定したとして、名古屋市内は108店で半数は名古屋市外になります。
ドトールのもっとも多かった東京都は91店で千代田区に限ると2店しかありません。
山口県には現在10店でドトールの3倍もの店舗があります。

(引用:店舗情報|コメダ珈琲店 (komeda.co.jp)2024年5月現在)

比べると、都心よりは郊外や地方に展開している傾向が見てきます。

店舗作りですが、コメダ珈琲といえば駐車場が完備されており、店内も2名もしくは4名で利用することを想定したクッション性の高いシートのボックス席が中心で、お一人様の席もひじ掛けがついた深く腰をかけられる椅子が採用されています。
また、一席ごとの間隔も広くゆったりとした空間作りがなされています。

フードメニューは、食べたことのある方はご存じと思いますがサンドイッチと言っても軽食というよりもボリュームが多く食事という感じで、ドリアやパスタもありしっかりと食事を摂るというイメージになっています。
また看板商品であるシロノワールや夏にはかき氷などデザートメニューも充実しています。

(引用:コメダ珈琲店、お昼に「昼コメプレート」開始 ドリンクに+500円でサンド&サラダ&チキンが食べられる! – ねとらぼ (itmedia.co.jp))

以上から家族や友人、場合によっては商談など、複数人でコーヒーを飲みながら会話をするシーンやお一人様でも読書をするお店でゆっくりすることを想定した店舗作りになっています。
ある程度の長居を前提する一方で、フードで客単価を上げて売上を稼ぐというビジネスモデルになっています。

また、FCを基本にすることで、人件費や地代はFCオーナー側に負担されることになり、コメダ珈琲としてはフランチャイズフィー(おおざっぱに言えば『コメダ珈琲』というブランドを使う使用料)や商品の提供による卸売りでの売上がメインになるため、客数に左右されにくく収益が安定しやすくなるビジネスモデルです。

前編から引き続きドトールコーヒーとコメダ珈琲の違いを財務面と事業面で見てきました。

これらから参考になる点は、『ターゲット』とその『ニーズ』に合わせた『サービス』です。

ドトールコーヒーであれば、『時間に制約のあるオフィスで働くビジネスマン』をターゲットと捉え、「来店から提供、清算までスピード」や「打ち合わせ前に小腹を満たすのに程よい量の食事」といったニーズを満たすサービスを提供しています。一方、コメダ珈琲であれば『友人や家族との会話を楽しみたい人たち』をターゲットとして、「気兼ねなくおしゃべりができる空間」や「みんなで一緒に楽しめるフード」といったニーズを満たすサービスを提供しています。

皆様の事業のターゲットはどんな方々でしょうか。
その方々はどんなニーズを持っているのでしょうか。
大手企業の施策はたしかお金があるからできるということも多いと思いますが、その仕組みや考え方は中小企業であっても十分に参考にすることができると思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今後も少しでも参考になる情報を発信していければと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

コラム作成者紹介

ソルト総合会計事務所 スタッフ
中小企業診断士/税務会計支援 松田尚

豊富な専門知識と経験で経営者を支えます
学生時代は個性的な友人に恵まれ楽しく過ごす。中学では卓球部で部長を務め、人の気持ちを理解し行動することの難しさを学んだ。大学では恩師の師事により、自分で考え行動し、自分らしい人生を歩むことの大切さを感じた。証券会社時代では礼儀を叩き込まれ、所作一つまでよく考えて行動することの大切さを学び、政治や経済のニュースでも表面上のことだけではなく、その要点などを理解し考えることができるようになった。

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