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会計/税務

外注費と給与の違いに要注意!

個人への報酬支払について、「外注費」「給与」かの判定は、税務実務においてよく問題になる論点です。
「外注費」になるか「給与」になるかで消費税、社会保険料、源泉所得税の取り扱いが大きく異なります。

特に「外注費」として処理していたものが、税務調査で「給与」と認定されると、消費税や源泉所得税の追徴税が発生するため、注意が必要です。

このような事態にならないよう、「外注費」「給与」の違いを把握することが大切です!

①「外注費」とは?「給与」とは?

定義による違い
「外注費」・・・請負契約等に基づく役務提供対価
「給与」・・・・雇用契約等に基づく役務提供対価

②税務上、社会保険上の取り扱いの違い

「外注費」
・「所得税の源泉徴収」の必要はありません。
(※注 デザイン料や講師料等、内容によっては源泉徴収が必要な場合もあります。)
・消費税がかかります。支払った消費税は課税仕入取引となり、納めるべき消費税から控除できます。
・社会保険への加入義務はありません。

「給与」
・「所得税の源泉徴収」を必ずしなければなりません。
・消費税はかかりません、給与は不課税取引として取り扱われるため、納めるべき消費税から控除できません。
・社会保険への加入義務があります。(パート等一定の場合を除く)

③職人に支払った報酬が外注費ではなく給与とされた判例

一人親方に支払った報酬が、
「外注費」ではなく「給与」認定された判例があります。

「給与」として認定された理由は、
・それぞれの職人が真に独立した仕事として認められないこと(代替性)
・報酬が「基本賃金」や「時間外手当」等をもとに支給されていたこと(報酬の労務対価性)
が主な要因です。

出典:国税不服審判所|裁決事例集 No.25-60頁

④「外注費」と「給与」の判断基準

両者の違いについて、国税庁の指針をもとに判断基準をまとめると、
下記「5つの判断基準」となります。

1)時間的拘束性(作業時間が厳密に決められているか?)

作業時間の拘束を受ける場合、給与とみなされる可能性が高くなります。
(ただし、業務の性質上当然に存在する拘束時間等は除きます。)

例えば、
・タイムカードや出勤簿の管理はされていない。
・作業時間の指定がされていない。
・支払先は他の顧客の仕事もしている。
・支払先は事業所得にて確定申告をしている。
・支払先には他の従業員も雇用している。
・支払先は自分で保険に加入している。

という状況に当てはまる項目が多い場合、外注費として認められる可能性が高くなります。

2)指揮監督(仕事の遂行について会社の指揮監督を受けているか?)

直接の指揮監督を受けている場合、給与とみなされる可能性が高くなります。
ただし、業務の性質上、指揮監督が存在することもあるため、総合的に判断します。

例えば、
・社員が上司の指示や会社のルールに従って仕事を進めた場合は、給与とみなされる可能性が高くなります。
・外注費の場合は、仕事の進め方や時間等について自分の意志や都合によって決めることができます。

3)報酬請求権(業務を遂行しないと報酬を請求できないか?)

請負契約や委任契約に基づき、納品やサービス提供によって報酬を請求する場合、外注費の可能性が高くなります。

一方、雇用契約に基づき、給与体系に基づく計算をし、支払いを行っている場合、給与になる可能性が高くなります。

4)材料や道具等の調達(作業のための道具や材料の費用負担をしているか?)

外注であれば成果物を完成させるために必要な道具や材料などを自ら調達し、調達に要した諸経費に自分の工賃等を足して請負金額を計算する必要があります。

5)代替性(他人が代替して業務遂行が可能か?)

業務の代替性が高い場合、外注費として取り扱われる場合が高くなります。

逆に、従業員同様の福利厚生の取扱い(残業、通勤手当、有休休暇、退職金等)が存在する場合、給与として取り扱われる可能性が高くなります。

⑤まとめと対策

最終的には、上記の判断基準を“総合的に”勘案して判定することになります。
判断が曖昧にならないようにするために、

1)「契約内容」や「業務実態」などの客観的な事実関係を明確にしておきましょう!!
2)またそれらを明確にした、契約書や請求書等をしっかりと保管・保存しておきましょう。

コラム監修者紹介

ソルト総合会計事務所 所長
公認会計士・税理士 山本 将之

EY新日本有限責任監査法人、株式会社YKプランニングを経て、2015年に山口県防府市にてソルト総合会計事務所(山本将之公認会計士・税理士事務所)を開業。「スピードと情熱」「積極的な提案」を大切にし、中小企業の経営支援・課題解決に組織的に取り組んでいる。

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