従業員の産休・育休で必要な手続き徹底解説!【前編】
従業員が出産を迎える時や、育休を取りたい時は会社様々な手続きが必要です。
従業員は長期の休業をするため、多少の不安がありますので、出来るだけスムーズに気持ちよく休みに入ってもらえるために産休・育休制度に関しての手続きを解説します。
まず労働基準法で定めてられている産休は以下の通りです。
【産前休業】
出産予定日の6週間前から出産日まで(多胎妊娠の場合は14週間前から取得可能)
※本人が希望すれば、出産日まで就業可能
【産後休業】
出産の翌日から8週間まで
※産後6週間の休業は義務ですが、産後6~8週間は本人の希望と医師の許可があれば就業可能です。
①従業員から「妊娠した」と報告を受けた時確認すること
●出産予定日
●休業前の最終出社日
●妊娠中の働き方
●休業中の連絡方法
●復帰の意思
②休業前までにすること
(1)産休、育休に関わる給付金について整理、確認しておく
●出産手当金
健康保険に加入している女性が産休のため給与の支給がない人がもらう給付
●出産育児一時金
出産の際にもらえる一律の給付
●育児休業給付金
育休のため給与の支給がない人がもらう給付
●出生時育児休業給付金
通称「産後パパ育休」、男性が産後8週以内に育休をとった場合に出る給付
※従業員と会社、どちらが手続きを行っても問題ありませんが、どちらが手続きを行うか、話し合って決めておきましょう。
(2)住民税の徴収方法を決めておく
休業中の徴収方法としては、
●普通徴収に切り替える
●一括徴収を行う
●会社が立て替えて、復帰後に徴収する
●毎月従業員が会社に支払う
※細かいことではありますが、先に決めておくとスムーズです
(3)下記の事項に関して個別に周知して意向を確認しておく
●育児休業・産後パパ育休に関する制度
●育児休業・産後パパ育休の申し出先
●育児休業給付に関すること
●労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
(4)申請書の受け取りと通知書の交付
●「育児休業申出書」を書面で受け取り、2週間以内に「育児休業取扱通知書」を交付する
※育休開始の1カ月前までに受け取る手続きですが、すでに産休に入ってしまっているケースもあるので、
産休前に提出してもらう方が良いです。
③従業員が産休に入った後
●社会保険の免除手続きを行う
⇒従業員が社会保険に加入している場合、産休中は社会保険料が事業主も従業員自身も社会保険料が免除されます。
免除手続きのために、会社が「産前産後休業取得者申出書」を事務センターか年金事務所に提出します。
※ 免除は実際の出産日を起点として産休の開始月から終了月の前月までです。なので、出産前に申請して
予定日と出産日がずれてしまうと「産前産後休業取得者変更(終了)届」を出す必要があるため、
産後に申請する方が2度手間になりません。
④従業員が出産した後
●出産手当金の申請手続きをする
⇒「健康保険出産手当金支給申請書」を協会けんぽに提出します。
※ 申請書には医師や助産師の記入欄があるため、提出する前に記入の必要があります。
●出産育児一時金の申請手続きをする
⇒「健康保険出産育児一時金支給申請書」を協会けんぽに提出します。
※ 申請書には医師などの記入欄があるため、提出する前に記入の必要があります。
※ 最近は病院への直接払いもあるため、その場合は会社は手続不要です。
●健康保険への扶養追加の手続きをする
⇒被扶養者として登録する場合「健康保険被扶養者(異動)届」を事務センターか年金事務所に提出します。
以上が産休まで(産後8週まで)の流れです。
次回の記事で育休についてご説明します!
コラム作成者紹介
ソルト総合会計事務所 スタッフ
社会保険労務士/税務会計支援 田村志乃
税務会計支援のエキスパート&社会保険労務士
福岡の税理士事務所に勤めた後、結婚を機に山口に移住。税務・会計・総務ひと筋のキャリアで知識・処理能力は事務所ナンバーワン。また、仕事と子育てを両立しながら社会保険労務士にも合格。周囲を驚かせている。