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【激戦ビール業界】生き残りをかけた各社の戦略とは!?

山口県防府市の公認会計士・税理士事務所 ソルト総合会計事務所で
中小企業診断士をしています松田です。

突然ですが、皆さん好きなビールの銘柄ってありますか?

アサヒスーパードライ、サントリープレミアムモルツ、キリンラガー、他にもフルーティーなフレーバーが若者を中心に流行りクラフトビールなども注目されています。
最近では“飲まない”という選択肢を取る方も増えてきており“ノンアル”なども種類が増えていますね。
ひとえにビールと言えどもメーカーごとに味わいは千差万別なわけですが、ビールメーカー自体の企業として戦略も各社特色があり面白いので、本記事で紹介していこうと思います。

【アサヒ】

まずはスーパードライでお馴染みのアサヒグループホールディングスです。
2024年12月期の売上は2兆9394億円、事業利益2,851億円です。
事業利益は「売上-売上原価-販管費」と定義されており一般の中小企業で言えば営業利益です。
国内の酒類に限ると売上8,149億円、事業利益1,099億円と調べた限り金額ベースでは日本一です。

調べていて面白いと思ったのは、大企業はセクション(部門)ごとの業績を説明資料に乗せていることが多いのですが、アサヒは事業を「日本」「欧州」「オセアニア」「東南アジア」「その他」と地域ごとに分類しており、グローバルでシェアを取っていくという強いメッセージが決算報告書からも感じられました
国内においてはBAC(Beer Adjacent Categories いわゆるノンアルやサワー)の市場拡大を受けてそちらへの注力をしていくようです。実際に生ジョッキ缶と同じ形のプルトップを採用した『未来のレモンサワー』は今年のヒット商品と言っても過言ではないと思います。

【サントリー】

次にサントリーHDです。
特徴としてあげられるのは、サントリーは飲料(酒類以外)・食品の売上が酒類よりも多く、ビールメーカーというよりも総合飲料メーカーという色合いが強いです。
売上(酒税控除後)3兆797億円、営業利益3,289億円で企業の売上としては日本一となっています。
国内における酒類の売上はデータがなかったので全体の売上に占める国内の割合を使って推定すると、5,067億円、営業利益867億円となります。

アサヒと同じく海外に主眼を置いており、山崎12年は権威あるインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2024においてシュプリーム・チャンピオン・スピリットを受賞するなど世界でのジャパニーズウイスキーの認知向上とともにサントリーのブランドも世界で高まっています。
国内ではジンである翠(SUI)が好評で前年比16%の大躍進を果たしたり、ジャスミン茶のJJなどの新商品もCM効果もあり防府の居酒屋でもメニューに並ぶようになりました。

【キリン】

続いてキリングループです。
アサヒ、サントリーに次ぐ売上2兆3,384億円、事業利益2,110億円、国内における酒類の売上6,627億円、事業利益751億円ですが、事業構成や事業計画が2社とは異なります。

それは「医療」、「ヘルスケア」の部門を持っていることです。
防府市民にはお馴染みの協和発酵キリンは「ヘルスケア」の部門に入ります。
そしてキリンは成長のカギを「医療」、「ヘルスケア」に見出しており、「酒類」・「飲料」事業で安定的に稼いだ資金を「医療」・「ヘルスケア」の研究開発費に振り分ける計画を立てています。
国内のビール業界で言えばキリンの売上増加は市場平均よりも高く今後も消費者からの支持を受け続けられるかに注目です。

【サッポロ】

最後にサッポロホールディングスです。
売上は上位3社と水をあけられる形で5,308億円、事業利益220億円、国内における酒類の売上2,730億円、事業利益164億円となっています。
特徴としてはキリンのように飲料以外の事業の柱がありそれが「外食」と「不動産」です。

国内ではビール事業を強化にあたりマーケティング戦略の見直しやRTD(Ready To drink いわゆる缶ビールや缶酎ハイ)での新商品の発表を行っています。

【まとめ】

どうだったでしょうか。4社4様の戦略の違いが少しは見えたのではないでしょうか。
トップランナーであるアサヒ、サントリーはグローバル戦略を中心に据え世界的な酒類メーカーになるために動きを見せています。
一方でキリンやサッポロは主たる事業である「酒類」・「飲料」に加えて別事業を柱として育てることで企業としての成長戦略を描いています。

皆様の推しのメーカーはこれからどこを目指そうとしているのかを知ることで、仕事終わりの一杯もまた違い味わいがあるかもしれません。

そして、中小企業は後者のキリンやサッポロの戦略が参考になると考えています。
本業と別の事業を育てることが先行きの見通しにくい経済環境の中で生き残っていくためのカギになるかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございます。

コラム作成者紹介

ソルト総合会計事務所 スタッフ
中小企業診断士/税務会計支援 松田 尚

豊富な専門知識と経験で経営者を支えます
学生時代は個性的な友人に恵まれ楽しく過ごす。中学では卓球部で部長を務め、人の気持ちを理解し行動することの難しさを学んだ。大学では恩師の師事により、自分で考え行動し、自分らしい人生を歩むことの大切さを感じた。証券会社時代では礼儀を叩き込まれ、所作一つまでよく考えて行動することの大切さを学び、政治や経済のニュースでも表面上のことだけではなく、その要点などを理解し考えることができるようになった。

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