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経営支援

良い借入と悪い借入

みなさんこんにちは。
ソルト総合会計事務所の山本です。
夏も終わりに近づいてきて少し涼しくなってきました。
気付けば、秋です。早いですね!
創業者から融資の相談を受ける機会も非常に多いので、基本的な考え方をまとめてみます。

お金は「先立つもの」

お金は「先立つもの」と言います。
売上を増やすために仕入代、設備資金、広告費、人件費、店舗家賃など、たくさんの出費がかかります。会社の経営も、すべては「先にお金がかかる」と考えましょう。
そのお金がなければ、その後の売上もたたないからです。

資金の調達方法は3通り

主な資金の調達方法は3つです。
①借入をする。
②出資を受ける。
③利益の蓄積や過去の貯金を元手にする。

市場での資金調達は上場企業や相応の知名度がないと難しいため、中小企業や個人事業は一般的には①借入をするか、③過去の利益の蓄積でお金を増やしていきます。
ときどき、借入と赤字を混合される方もいらっしゃいますが、利益を伸ばしている会社では、借金が減るどころか借金が増えていくことも往々にしてあります。ですので、黒字か赤字かという話と借入の有無は全く別の話です。
特に売上が急成長している会社では、新たな運転資金と設備資金、人財採用にどんどん投資をしており、企業の成長スピードに資金が一時的に追いつかなくなることがあります。

理想的な借入のパターン

簡単な数字を例に出してみましょう。
下記のような売上5,000万円、利益ゼロの会社を想定します。

この会社が金利1.5%で1,000万円の借入をします。
それを元手に商品を購入し、売ることを考えます。
これを年間で6回転させます。
(事例を簡単にするために、運転資金や税金等は考慮しません)
そうすると、下記のように業績が変化します。

売上は1億2,500万円に増額、固定費も1.4倍に増額しても利益は1,085万円残ります。
このように借入にレバレッジを効かせることで、会社の利益は増加します。
銀行の金利以上に事業の収益率が高い場合は、利益は増大していきます。
元手がないまま利益をコツコツ積み上げていても、売上1億2,500万円に達するまではすごく時間がかかります。
借入でレバレッジを効かせ、時間を買う!これが借入のメリットです。

悪い借入の例

借入の本質は利益の前借りなので、借入の返済は利益から返していくことになります。
借入後に、収益性(利益)が高まらなかった場合、赤字となり、運転資金が足りなくなった会社は、借金でその不足を補います。
すなわち、利益<借入返済額となり、その返済を補うために追加借入を行います。
銀行は基本的には返済目的の融資はしないので、やがて資金調達ができなくなり、次第に倒産に近づいていくことになります。
(赤字でも、一過性の場合や創業赤字、売却可能資産がある場合など絶対に融資を受けられないわけではありません。また、リスケの方法なども何パターンかあります。)

将来の利益>返済額のイメージを持ちましょう。やみくもな借入は資金繰りを悪化させることもあります!

借入を行う際に重要なこと

事業資金として借入を実行する際に重要なことは、どのようにレバレッジを効かせ、利益を蓄積し、返済していくかの事業計画をたて、その計画を実行することです。
実現可能性の高い経営計画をたて、返済するための道筋を明確にイメージしましょう。
売上数量、売上単価、販売計画、採用計画、投資計画など、資源配分を適切に決定し、利益の最大化を目指します。
計画をしっかりと実行し、定期的にモニタリングすることで、適時に事業の軌道修正を行うことができます。
時は金なりです。

コラム監修者紹介

ソルト総合会計事務所 所長
公認会計士・税理士 山本 将之

EY新日本有限責任監査法人、株式会社YKプランニングを経て、2015年に山口県防府市にてソルト総合会計事務所(山本将之公認会計士・税理士事務所)を開業。「スピードと情熱」「積極的な提案」を大切にし、中小企業の経営支援・課題解決に組織的に取り組んでいる。

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